会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2016/04/14


 坂本工業では、健康保険における被扶養者となっている配偶者および高校生までの子どもに家族手当を支給しているが、従業員から大学生になる子どもの学費の負担が大きいという話を聞き、家族手当の見直しを考えるようになった。そこで、最近の動向を社労士に聞くことにした。

 先生、こんにちは。新年度が始まり、新入社員が入社したことで職場の雰囲気がよくなりました。素直に業務に取り組む姿勢は、他の従業員の刺激になっているようです。

 確かに、顧問先に電話をかけて新入社員が出ると、その一所懸命さに、私も忘れかけていた仕事への取り組む気持ちを思い出し、気持ちが引き締まります。

 やはり、そうなると定期的に新卒採用を考えなければならないということなのでしょうね。そういえば、このことに少し関連するのですが、うちの従業員の中に、今年の春に大学を卒業して働き始めた子どもがいる者がいるのですが、その従業員から「大学の4年間は学費負担が特に重かった」という話を聞きました。改めて考えると、当社の家族手当は、配偶者と高校生までの子どもが支給対象となっています。この部分の見直しを考えようかと思うのですが、いかがでしょうか?

 なるほど、確かに大学の学費負担は大きなものがありますね。それに加えて、世の中の流れとしても家族手当の見直しが進められています。もちろん、御社のように大学生の子どもの学費負担が大きいというような問題もありますが、もうひとつ、女性の活躍の妨げのひとつとして家族手当があるのではないかということで、厚生労働省より配偶者手当のあり方に関する報告書も出されたところです。

 大きな変化の流れがきているのですね。

 実際に家族手当を見直すときには、どのような点に着目していけばよいでしょうか?

 そうですね。ポイントはいくつかありますが、必ず押さえておきたいこととしては、(1)家族手当の支給目的の明確化、(2)家族手当の支給範囲、(3)家族手当の支給額、の3点が挙げられるでしょう。

    (1)家族手当の支給目的の明確化
     今回の御社のケースですと、大学生になった子どもの学費の負担について、会社として対応を考えたいとのことでした。そのような具体的な目的から家族手当を支給する意義を考えていく必要があります。特に共働きが当たり前となってきた昨今では、家族手当の支給対象に配偶者を入れるのかというのは大きな検討ポイントとなります。

    (2)家族手当の支給範囲
     次に、支給範囲の検討ですが、現在の御社のように、健康保険の被扶養者を対象にするのか、それとも所得税法上の扶養親族にするのか。または、それ以外の基準を設けるのかといったことが検討のポイントになります。

    (3)家族手当の支給額
     もうひとつが、支給額です。配偶者と子どもに支給する場合には、一人当たりの金額を平等にするのか、また、子どもが複数いる場合で、子どもに支給する場合には、それぞれの額をどうするかといったことを検討しなければなりません。

 家族手当は、法律では支給すべきものとされていないため、その支給目的や支給額は会社の自由度がかなり高くなっています。そのため、どのように設計するか、御社の狙いを踏まえて十分な検討が必要になります。

 なるほど。これまでは深く考えていなかったけれども、なかなか奥深いものですね。

 そうですね。また、今年10月から、大企業(従業員501人以上の企業)に勤務している短時間労働者(パートタイマー・アルバイト等)に対する社会保険の適用が拡大されることになっています。これに関する詳細の内容は割愛しますが、御社のように健康保険の被扶養者となっている配偶者に対し、家族手当を支給するという基準を設けている場合、今後、適用範囲の拡大で影響を受けることになりますので、注意が必要です。

 そのようなこともあるのですね。まったく考えていませんでした。家族手当をどのように支給するかも含め、検討したいと思います。また相談に乗ってください。

>>次回に続く



 人事院の「平成27年職種別民間給与実態調査」によると、76.5%の企業が、家族手当制度があると回答しており、そのうち、90.3%の企業が配偶者の収入による制限があると回答しています。さらにその収入制限を確認すると、103万円が68.8%、130万円が25.8%となっています。このような状況があることもあり、家族手当(配偶者手当)が女性の活躍の妨げのひとつとして考えられるようになっています。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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