会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2016/01/14


 坂本工業の木戸部長は、以前から新聞で社会保険料率が変更されるという記事を目にしており、どのようなタイミングで変更すればよいのかが気になっていた。そこで、社労士に確認することにした。

 先生、こんにちは。年度末に近づくと健康保険料や雇用保険料の料率が変更になるという新聞記事を見かけますが、どのようなタイミングで変更になるのですか。

 確かに最近は保険料率の変更が多く行われているように感じます。社会保険には、健康保険、介護保険、厚生年金保険が、労働保険には労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険があります。これは保険の目的ごとに分けられているものです。そして、このそれぞれで保険料率が決まっています。

 保険料率だけではなく、保険に加入する人の範囲も異なったりしていて、ややこしいですよね。確か、少し前に変更があったのが厚生年金保険料率だったように思いますが。

 そうですね。厚生年金保険の保険料率は、長期間に亘って少しずつ保険料率が引上げられることが決まっており、平成17年9月から、毎年9月に0.354%ずつ引上げられ続けています。これは、平成29年9月までとなっており、平成29年9月からは固定されることになります。

 まだ2年は引上げが続くのですね。会社としての負担も大きいなぁ。

 確かに、給与明細を見た従業員に「税金より社会保険料負担が大きいのでどうにかなりませんか?」と言われたことがあります。若い独身男性の中には、病院にかからず、将来の年金についてももらえるか不安ということで、保険料を納める一方だと感じる人もいるようですね。少し話が逸れましたが、残りの社会保険については、春の変更が多いように感じていますが。

 はい、順番に確認していきましょう。健康保険(以下、協会けんぽを前提とする)ですが、厚生年金保険のように明確な時期が定まっているわけではありません。ただ、3月分(4月納付分)から変更されることが多くなっています。なお、今年度(平成27年度)については、政府予算案の閣議決定が例年より遅れたこともあり、4月分(5月納付分)から変更になりました。

 健康保険には国庫からの補助金もあるのですね。

 そうですね。介護保険についても同様で、国庫負担も含めた財政状況から協会けんぽが負担しなければならない介護納付金が試算され、それに基づいて介護保険料率が決定されます。

 なるほど。ちなみに来年度も変更になりそうなのですか?

 その件については、現在、協会けんぽの内部で検討が進んでいます。健康保険料率も含め、今後、正式な発表があると思いますので、協会けんぽから届くお知らせには注意をしてくださいね。次に労災保険ですが、これは3年に1回、過去の労災保険の給付等に必要となった額に基づき見直すことになっています。ちなみに、今年度(平成27年度)に変更が行われましたので、次の予定は平成30年度ですね。

 なるほど。それぞれで変更の時期がかなり違うのですね。

 確かに、混乱する状況ですよね。そして、雇用保険ですが、これは毎年見直しが行われています。そもそも雇用保険の一定の率が法律で定められています。その率について、毎年度、財政状況によって見直しが行われることになっています。料率を変更する際には、本当は法改正が必要になるのですが、一定の範囲の引上げ・引下げは法改正の手続きを踏まずできる弾力条項という仕組みが設けられています。

 なるほど。それぞれの保険で財政状況も勘案して決まっていることがよく分かりました。ところで、確か子育てのために会社が負担しているものもありましたよね?

 子ども・子育て拠出金ですね。これは、全額事業主負担となっているもので、厚生年金保険の被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に、拠出金率かけて計算されるものとなっています。これも財政状況によって見直されることになっています。

 ありがとうございました。ややこしいものですが、内容を整理して、常に最新情報には注目をしておきたいと思います。


>>次回に続く



 今回は、社会保険料率の変更されるタイミングとその決定方法の概要について取り上げました。保険料率の変更は役所からお知らせが届くことになりますが、内容によっては会社と従業員に大きな影響を及ぼすこともあります。確実な情報を把握し、影響が大きいものについては、従業員にも周知するようにしましょう。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
お問合せ
株式会社WiseBrainsConsultant&
アソシエイツ
〒850-0033
長崎県長崎市万才町10-16
パーキングビル川上301
TEL:095-895-8351
FAX:095-895-8361