会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2015/12/10


 坂本工業では来年、育児休業を取得する予定の従業員がいる。最近は、マタニティハラスメント(マタハラ)が各種メディアでもとり上げられていることから、労務管理上の注意すべき点について、社労士に相談することにした。

 先生、こんにちは。今年も残りわずかとなりましたね。

 そうですね。業務のやり残しのないように、チェックリストを作るなどして対策をしておきたいですね。

 はい。そういえば、先日、テレビ番組で「現在は様々なハラスメントがあり、会社ではマタハラが問題になっている」というのがやっていました。このマタハラについて、どのようなことが問題になるのか教えてもらえないでしょうか?

 わかりました。確か、御社ではこれまでも育児休業を取得して、職場復帰された方がいらっしゃいましたね?

 ええ、来年も育児休業を取得する予定の従業員がいるので気になっています。これまでも、当社の対応として問題はなかったと思いますが、マスコミ等で、トラブルが増えていると聞くと、改めて対応について見直しておこうと思っています。

 なるほど。それでは労務管理上の注意点をお話しましょう。マタハラには様々なものがありますが、一般的には、パートタイマーや契約社員といった非正規社員が被害に遭いやすいと言われています。具体的には、妊娠したことを報告したことで、契約更新が予定されていたにも関わらず、雇止めをされたといった事案が発生しています。その他にも、解雇や賞与の不利益算定、正社員を非正規社員とするような契約内容の変更を強要すること、不利益な配置変更を行うこと等が挙げられます。

 なるほど。本来であれば育児休業を取得できるのに、雇用の打ち切りとされてしまうことなどが問題となっているのですね。当社では、これまでに従業員がつわり等で欠勤するケースがありました。賞与の査定で減額を行いましたが、これも問題となる取り扱いになるのでしょうか?

 理由はどうであれ、欠勤したことに変わりはありません。そのため、欠勤した日数分について減額することは問題ありません。私傷病で欠勤するケースと同じように取り扱うということですね。

 欠勤した日数分より多く減額してはだめだということでしょうか?

 はい、その通りです。ただ、現状はマタハラということばが独り歩きをし、欠勤した日数分について減額した場合でも「マタハラではないか?」と感じる人も出てきているのではないかと思います。どのような取扱いになるかはしっかりと事前に説明をしておいた方がよいですね。

 なるほど、そうですね。不利益取扱いとして、先ほど「不利益な配置変更」が挙がっていましたが、どのようなことが問題となるのでしょうか?当社では本人の体調や業務負担を考え、異動させるケースが考えられます。

 まずは配置変更の必要性を考えなければなりません。「母性健康管理指導事項連絡カード」と言って、妊娠中の女性従業員が主治医の指導内容を会社に伝えるためのツールがありますが、これをもとに本人から申出があり、異動させるのであればそれは適正な範囲での対応となるでしょう。それとは反対に、従業員から申出がないにもかかわらず、会社の方で勝手に異動させるとトラブルの原因となる可能性があります。

 会社としては良かれと思って行った対応が、後になってトラブルとなるのですね。

 そうです。先ほども説明したように会社が行った適正な対応や、会社が良かれと思って行った対応を本人が不利益取扱いをされたと受け止めてしまうことがあります。そのため、賞与の減額と同様、異動を行う際には理由を伝えし、併せて賃金の変更があればその説明を事前に行うことがポイントになります。

 丁寧に説明しておくことが、トラブル防止にもつながりますね。

 そうですね。また国としてもマタハラ対策を強化するために、社員教育や相談窓口の設置を義務付けることなどの検討を始めたようです。新たな動きがありましたら情報提供しますね。


>>次回に続く



 今回は、マタハラ対策について解説しましたが、マタハラは妊娠・出産・育休等の事由を「契機として」不利益取扱いが行われた場合に問題とされます。この「契機として」という部分について補足しておきましょう。

 この契機とされるか否かは、原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合、「契機として」いると判断されます。ただし、事由の終了から1年を超えている場合であっても、実施時期が事前に決まっていたり、ある程度定期的になされる措置(人事異動、人事考課、雇止めなど)については、事由の終了後の最初のタイミングまでの間に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断されます。

 今後、マタハラに関するトラブルが増えていくことが予想されるため、会社としてもトラブルにつながるような取扱いをしていないか点検しておきたいものです。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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