会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2015/11/12


 坂本工業の木戸部長は、転職希望として今月末に退職する従業員から、退職後の雇用保険の給付について質問を受けた。これまでは、退職後のこととしてあまりその内容を理解していなかったが、学んでおく必要があると感じ、社労士に聞くことにした。

 先生、こんにちは。当社で近日、退職する従業員が出てきたのですが、雇用保険の失業後の給付のことを尋ねられ、自分の中で整理ができていないことに気づきました。基本的なことですが、失業保険を受給する際の流れについて教えていただけませんか?

 はい。通常、会社が行うのは離職票の発行手続きをするところまでですので、退職者が離職票を受け取ってからの実際の給付となるとよく知らないという話をよく耳にします。会社での手続きの参考にもなりますので、説明をしておきましょう。雇用保険の失業後の給付はいくつかありますが、今回はもっとも多くの人が受給する基本手当についての説明をさせていただきます。

 基本手当とは、一般的には「失業手当」と言われるものですよね。承知しました。

 離職票は、原則として、退職日の前6ヶ月間の給与を記載してハローワークで手続きをします。手続きが完了すると、雇用保険被保険者離職票-1および雇用保険被保険者離職票-2という2つの書類が退職者に発行されます。

 これまでは、その2枚の書類を退職者に渡し、ハローワークに行くようにと伝えていました。

 そうですね。これらの書類と共に、運転免許証等の身分証明書、写真2枚、基本手当を振り込むための預金通帳を持って、退職者の住所を管轄するハローワークに出向くことになります。

 その手続きは離職票発行後にすぐに行う必要があるのですか?

 基本手当を受給することを検討されているのであれば、早めにハローワークへ出向かれることをお勧めしています。遅くなったとしても手続きはできるのですが、その分、基本手当の支給も遅れることになり、場合によっては基本手当を全額受け取ることができない可能性も出てきます。というのも、基本手当を全部受け取るまでの期間は、原則として離職日の翌日から起算して1年以内とされています。この期間が過ぎると、まだもらえる日数が残っていたとしても、支給されないことになるからです。

 なるほど。退職者がハローワークに出向いて、初めて基本手当の手続きがスタートするということですね。ちなみに、出産や育児で退職する従業員もいるのですが、このような場合でも1年間で全部受け取らなければならないのですか。

 いいえ、病気、出産、育児等の理由ですぐに働くことのできない人は、受給期間の延長申請を行うことになります。基本手当は、就職するという積極的な意思と働くことのできる能力が必要ですので、療養や育児等に専念する場合には、基本手当の受給資格もないということになります。

 退職理由によっては、延長申請のことも説明しておいたほうがよさそうですね。

 そうですね。さて、話を元に戻しましょう。ハローワークに出向き手続きをした後は、すべての人が7日間の待期期間を過ごすことになります。この間は、基本手当は支給されません。その後、基本手当を受けるための手続き等が案内される説明会を経ることになりますが、自己都合や懲戒解雇等で退職をした人は、さらに3ヶ月間、基本手当が支給されないことになっています。これを給付制限と呼びます。

 自己都合で退職すると、基本手当をもらうまで待たなければならないという期間のことですね。

 はい、そのとおりです。その後は、ハローワークにより指定される4週間に1回の認定日ごとにハローワークに出向き、失業の認定を行うことになります。認定されると、預金口座に基本手当が振り込まれることになります。

 ちなみに、基本手当はいくらもらえるのですか?

 離職票に記入した退職日の前6ヶ月間の給与を元に算出されることになります。目安としては、1ヶ月20万円の給与の人は、1日につき4,747円が支給されることになります。細かな計算方法がありますので、あくまでも目安と理解してくださいね。そして、これに所定給付日数という給付される日数があり、基本手当が総額としていくら支給されるかが分かります。所定給付日数は以下のように決まっています。

表1 一般の退職者の場合
         


被保険者であった期間
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
離職時の満年齢
65歳未満
90日
120日
150日

表2 障害者等の就職が困難な人の場合
         


被保険者であった期間
1年未満
1年以上
離職時の満年齢
45歳未満
150日
300日
45歳以上65歳未満
150日
360日

表3 特定受給資格者
         


被保険者であった期間
1年
未満
1年
以上
5年
未満
5年
以上
10年
未満
10年
以上
20年
未満
20年
以上
離職時の満年齢
30歳未満
90日
90日
120日
180日
30歳以上
35歳未満
90日
180日
210日
240日
35歳以上
45歳未満
90日
180日
240日
270日
45歳以上
60歳未満
180日
240日
270日
330日
60歳以上
65歳未満
150日
180日
210日
240日


 特定受給資格者というのは、どのような人ですか?

 はい、倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた人等を指します。また、一定の期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと等により離職した人も含まれます。

 想定外の退職の場合には、すぐに支給してあげようということですね。

 そうですね。このように離職した理由、年齢、勤続期間(被保険者期間)、さらにはハローワークで手続きを行ったタイミングまで基本手当の受給に影響が出てきます。会社としては、できるだけ速やかに手続きをすることで退職者のスムーズな基本手当受給につなげてあげたいものです。


>>次回に続く



 今回は、雇用保険の基本手当について説明しました。基本手当は、離職時の満年齢が65歳未満の人に対して支給されるものです。離職時に65歳以上の人(同一の事業主に65歳に達する前から引き続いて65歳以後に雇用されている人)に対しては、高年齢求職者給付金として、基本手当に代わり一時金が支給されることになっています。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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