会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2015/10/08


 坂本工業では経理課に派遣労働者を受け入れている。タイムリーな情報としてこの9月30日から改正派遣法が施行されたことは分かっているが、10月1日から施行された労働契約申込みみなし制度について、社労士に相談することにした。

 先生、こんにちは。読書の秋、食欲の秋になりましたね。

 そうですね。秋野菜が出回り、食事をすることが楽しみです。さて、今日は派遣法のことで相談があると伺っていましたが、どのようなことでしょうか?

 はい、当社では経理課に派遣労働者を受け入れているのですが、この10月1日より違法派遣の状態にある場合、その派遣労働者を直接雇用する必要があると聞きました。これはどのようなことでしょうか?

 労働契約申込みみなし制度のことですね。これは、派遣先が以下の違法派遣を受け入れていた場合、その時点で、派遣労働者に対して派遣元の労働条件と同一の労働条件で労働契約の申込みをしたものとみなされるという制度です。

(1)労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
(2)無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
(3)派遣可能期間を超えて労働者派遣を受け入れた場合
(4)いわゆる偽装請負の場合

 具体的に解説してもらえますか?

 もちろんです。まず(1)(2)(4)からとり上げましょう。(1)については法律で建設業務や病院等における医療関連業務など労働者派遣の禁止業務が具体的に定められており、これらの禁止された業務に従事させた場合は違法派遣となり、労働契約申込みみなしの対象となります。次に(2)については、9月30日より労働者派遣事業が許可制※になりましたが、この許可を受けていない事業者から労働者派遣を受け入れた場合も同様に対象になりますね。そして(4)については、派遣法の適用を免れる目的で、請負契約としながらも、実際、請負事業者の従業員に指揮命令を行っているような場合に偽装請負とされ、これも労働契約申込みみなしの対象となります。
※経過措置あり。

 なるほど。違法派遣にもいろいろなケースがあるのですね。

 そして御社に関係しそうなのが(3)になるのですが、(3)については、この9月30日に改正派遣法が施行され、新たに事業所単位・個人単位の2つの期間制限が設けられましたが、このどちらに違反した場合でも労働契約申込みみなしの対象となります。

 9月30日時点で既に締結している派遣契約はどのようになるのでしょうか?当社では、今年4月から来年3月までの契約で経理課に派遣労働者を受け入れています。

 そのように労働契約申込みみなし制度の施行(平成27年9月30日)前に結ばれている労働者派遣契約については改正前の法律の労働契約申込み義務の対象になります。つまり、10月より施行された労働契約申込みみなし制度の対象になりません。

 改正前のルールと改正後の新しいルールの2本が動いているということですね。

 そうなりますね。労働契約申込みみなし制度が施行となりましたので、より違法派遣状態にないかの確認は重要になってきます。

 当社では、特に(3)について注意していく必要がありそうです。

 はい、営業所や支店単位で派遣労働者を受け入れている場合は、実務上、特に発生しやすいミスになりますので、全体で管理を行い、抵触日を超えないようにチェックしていく体制が求められますね。


>>次回に続く



 今回は、労働契約申込みみなし制度について解説しましたが、ここで善意無過失について補足しましょう。この善意無過失とは、派遣先が上記(1)から(4)の違法派遣について該当することを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったとき、適用されないことを指しています。ただし、この過失がなかったことは派遣先企業が立証することになり、また、法律を知らなかったでは過失がなかったとは言えないことから、改めて法律の内容を確認しておきたいものです。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
お問合せ
株式会社WiseBrainsConsultant&
アソシエイツ
〒850-0033
長崎県長崎市万才町10-16
パーキングビル川上301
TEL:095-895-8351
FAX:095-895-8361