人事労務ニュース
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文書作成日:2016/01/26

出張における労働時間の取扱い

 未払い残業代の問題は、相変わらず多くの企業で発生していますが、その中でも、出張における労働時間の取扱いは、通常の労働時間と比べて労使間での認識の違いが発生しやすい事項となっています。そこで今回はこの問題の法的ポイントについてとり上げます。

 企業には労働時間の把握義務が課されており、各従業員について始業・終業時刻を確認し、記録しなければならないとされています。しかし、出張のため従業員が事業場外にいるため、始業・終業時刻を確認することができず、労働時間を算定することが難しいケースがあります。このようなケースにおいて適用できるのが、労働基準法第38条の2に定められている「事業場外労働」です。

1.事業場外労働のみなし労働時間制とは
 事業場外労働のみなし労働時間制とは、従業員が労働時間の全部または一部を事業場外で勤務した場合で、労働時間を算定することが難しいときは、原則として「所定労働時間労働したものとみなす」という取扱いがされるものです。

 これにより実際の労働時間が把握しがたい出張の際には、原則として実際に何時間勤務したのかに関わらず、就業規則に定められた所定労働時間を勤務したと取扱われることとなります。なお、労働基準法第38条の2第1項のただし書きにおいて、該当業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」がみなし時間となります。

2.事業場外労働のみなし労働時間制と考える上での注意点
 1.の取扱いはあくまでその業務が事業場外で業務に従事し、労働時間を算定することが困難な場合に適用されるものであり、通達(昭和63年1月1日 基発第1号)においても、「事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務であること」と示されています。つまり、会社から具体的な指揮監督が及んでおり労働時間を算定できる場合はみなし労働時間制を適用することはできず、原則に基づいて労働時間を把握し算定することになります。また同通達で、以下のようなケースについては、みなし労働時間制を適用することはできないとされています。

(1)何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合

(2)無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合

(3)事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合

 出張の場合にはすべてみなし時間が適用できるという認識や、出張の移動時間がいつでも労働時間であるという認識は、間違っている場合があります。再度、自社がどのような取扱いをしているのかを確認しておきましょう。

■参考リンク
東京労働局「「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために」
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/jigyougairoudou.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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