医療福祉の労務情報
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文書作成日:2016/02/29


 今回は、経歴詐称を理由に働きぶりの良くない職員を解雇したい、という相談です。




 採用選考時に提出された履歴書において、前職では同業で5年間正職員として勤務していたと記載されていたものの、実はパートタイマーとして2年間しか勤務していないことがわかりました。働きぶりの良くない職員ですので、この経歴詐称を理由に解雇したいと考えているのですが、問題ないでしょうか。




 経歴詐称による解雇は、その採用によって労働力の適正な配置を誤らせるような重大な詐称でなければ、権利の濫用として無効となる可能性があります。




 労働力人口における非正規労働者数が増加傾向にある中で、特に若い年齢層の労働者が正職員として働きたいとの希望から、過去の経歴を詐称して応募してきたという話を耳にすることが増えてきました。その多くは、採用後の働きぶりで発覚するようですが、ご質問のように解雇まで考えるケースもあるようです。

 実際に解雇を検討するに当たっては、形式面と実態面に分けて考えることがポイントになるでしょう。まず形式面ですが、経歴詐称を理由に解雇を行うためには、就業規則においてあらかじめ経歴詐称が解雇事由となることを定めておく必要があります。一般的には、「重大な経歴を偽り、採用された場合」といった旨の規定がされており、それを根拠に解雇を検討することになります。次に実態面ですが、「重大な」経歴詐称が存在するのかということがポイントとなります。ここでいう「重大な」とは、個々の事案によって解釈は異なりますが、その経歴詐称によって労働力の適正な配置を誤らせるような場合、と解釈されています。例えば、看護師募集をした際に、看護師の資格を持っていると申告していたにも関わらず、実は資格を持っていなかったというようなケースが該当します。

 今回のご質問では、勤務年数や勤務形態が異なっていたとはいえ、「重大な」とは考え難く、仮に解雇をした場合には、労働契約法第16条に定める「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定に抵触する可能性があるため注意が必要です。

 こうした問題を防止するためには、採用面接時に過去の経歴や仕事内容について十分確認すること、そして、そもそも「経歴詐称」と「働きぶり」は別問題であることから、働きぶりが悪いのであれば注意指導を重ね、改善がみられない場合には懲戒処分を検討するといった方法などが考えられます。


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