医療福祉の労務情報
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文書作成日:2015/10/31


 今回は、職員の患者に対する虐待行為への対応相談です。




 ある職員が患者に対して、隠れて虐待行為をしているという噂を耳にしました。事実であれば許されない行為です。職員の処分を含めて、どのような対応をしなければならないでしょうか?




 まずは事実確認を行い、それが事実であれば解雇を含めた制裁処分の検討を行う必要があります。行政機関への報告や再発防止策の策定、更には被害者本人や家族への謝罪等も行わなければなりません。




 医療機関では、患者が思うように動いてくれないことにストレスを感じ、職員が患者に対して虐待行為をすることがあります。着替えや入浴の際に、他の職員が不自然な痣(あざ)を発見してその事実が判明することが大半ですが、現実的にはその前に職場内で噂が流れることが多いようです。
 そのような噂が流れた場合には、まずその事実関係を迅速に把握する必要があります。そして、それが事実であれば、虐待の程度にもよりますが、解雇を含めた厳正な処分を考えていかなければなりません。解雇は手続き上、労働基準法第20条により少なくとも30日以上前に予告をするか、30日分以上の平均賃金の支払いが求められています。ただし労働者の責に帰すべき事由がある場合には、管轄の労働基準監督署長の認定を受けることによって、その適用を除外できることになっています。この解雇予告の除外認定を受けるにあたっては、通達(昭和23年11月11日基発1637号)において、「原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取・横領・傷害など刑法犯に該当する行為のあった場合」は可能とされていますので、社会保険労務士や労働基準監督署に相談をしながら対応を進めるとよいでしょう。

 同時に、市区町村等の行政機関への報告はもちろんのこと、本人や家族に対しての謝罪等の検討も必要となりますが、こちらについては警察の対応や家族等からの慰謝料請求といった問題に繋がることもあることから、弁護士を交えて進めていくことが賢明です。

 もっとも、本人がなぜそのような行為に及んだのか、という点を考察する必要もあるでしょう。人材不足を理由に勤務体制に余裕がなく休日もほとんどなかった等というような状況であったとすれば、ストレスの根本的な原因は、医院や管理者の労務管理の杜撰さにあったと考えることができるかも知れません。こうした状況を改善しなければ、同様の問題が再発する可能性も否定できないことから、職員が抱える潜在的不満には常に目を光らせておきたいところです。そういった意味では、定期的に職員に職場の満足度調査を行うことも考えていってもよいでしょう。


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